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追悼!橋本治氏

e0171821_14080930.jpg作家の橋本治氏が亡くなられたとの記事
1968年、東大紛争中の駒場祭のポスター「とめてくれるな おっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」というポスターで一躍有名になった。
僕よりひとつ年上ですが、我々の世代の「知のトップランナー」として存在感のある人でした。

僕にとっては、古典へと目を開かせてくれた人でもありました。
「桃尻語約 枕草子」、「窯変源氏物語」をはじめ取っつきにくかった古典を実に読みやすくしてくれた。
瀬戸内寂聴、田辺聖子など女性の訳した「源氏物語」が色恋中心に描かれているのに対して、「窯変源氏物語」では光源氏の政治的な側面まで描かれていたのが「権力闘争ドラマ」として男にも分かりやすくなっていたのかも。

作家としてだけで無く、評論家としても現政権に対して厳しい批判を浴びせてきました。
どちらかというと「孤高の存在」としてシニカルな視線で世の中を見つめる姿は、かの駒場祭のポスターを彷彿させるところがあった。
日本の知性を体現する人が、また一人居なくなってしまった。

合掌!

by dairoku126 | 2019-01-31 14:28 | 文化 | Comments(0)

フェルメール展を、見に行ってきました。

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都内で一泊したので、上野の森美術館へフェルメール展を見に行きました。
というか、一泊するのでフェルメール展を予約しておいたと言うべきか…。

予約時間より1時間ほど早めに行ったら、すでに凄い行列。
当日売りは、15時以降のみとなってました。
係の人に「先に入れませんか?」と訊いたら、すげなく「11時からの人は30分前からこちらに並んでください」とのこと。
公園内をブラブラして時間を潰してから、並びに行くと結構長い列が出来ている。
並んでいると入場券のチェックに来ました。

10時の部で入った人たちが、早めに出たらしく空いてきたのか、係の人の誘導で20分前から入場するゲートの方に移動。
音声ガイドを無料で貸してくれました。

まずは、同時代のオランダ絵画が並んだ部屋から…。
レンブラントのような細密に、そして光を感じさせる絵が並んでいました。

音声ガイドが絵の説明をしてくれる(ナビゲーターは石原さとみ!)ので、それが終わるまで人が動かない。また、説明されたところを良く見ようとして、さらに前に乗り出す人も…。

そして、いよいよお目当てのフェルメールの部屋に。
現存する35点の作品のうち9点が勢揃いするのは、初めてのことだとか。
保存状態が良いのか、美しさがまったく損なわれて居ませんでした。
眼福、眼福!

田舎で暮らしていると、人混みの中に居るだけで疲れる。
ということで、見終わって外に出てから、どこかでランチなんて気分になれない。
そのまま、上野から直行で帰りました。

by dairoku126 | 2019-01-27 16:03 | 文化 | Comments(0)

合掌!梅原猛さん

日経のサイトを見ていたら、哲学者の梅原猛さんが亡くなったとの記事が出ていました。
法隆寺の謎に挑んだ「隠された十字架」を読んでから、すっかりファンになり、30代はこの人の全集を片端から読んでいた。仕事が暇な時に、会社のデスクで読んでいると、デスクの女の子に「お父さんが読んでいるような本だぁ」と言われて苦笑した覚えがあります。

20代の頃までは、日本にあまり興味が無く、西洋かぶれ気味だった私ですが、アメリカにロケに行くたびに彼の地の外国人に日本のことをいろいろと聴かれ「日本のことを何も知らないな」と思って、手に取ったのが「隠された十字架」でした。
「梅原日本学」と言われるほど、それまでの古代史の常識に挑戦して斬新な仮説、新しい切り口を見せてくれる論理の展開にミステリーを読むように引き込まれて行きました。

今では古事記・日本書紀が藤原不比等をプロデューサーに、持統天皇即位の正当化のために創られたというのは定説になっていますが、不比等の存在をこれだけクローズアップしたのは、梅原猛さんでした。
さらに、柿本人麻呂の悲惨な最期などを綴った「水底の歌」とか縄文文化にスポットを当てた縄文論など、京都学派の雄として哲学者という範疇を超えた日本文化論を唱え、スーパー歌舞伎の原作まで書いてしまうという幅の広い活動で知的な好奇心を満たしてくれた存在でした。

合掌!

by dairoku126 | 2019-01-14 10:34 | 文化 | Comments(0)

映画『ボヘミアン・ラプソディ』

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Queenのヴォーカリスト・フレディ・マーキュリーの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきました。ほぼ、同じ年代のバンドですから、彼らが活躍した時代というのは、僕自身にとっても社会に出てガンガンに働いていた時期と重なる。
当時のロック・バンドとしては革新的だったし、音楽的にも他のバンドとは違うことをやっていたという印象はありました。
まぁ、アルバムを買うことは無かったけど、仕事を通して良く耳に入っていました。

ちょうど、この時期というのは「クロスオーバー」という言葉が世間一般でも使われ出した頃で、ジャズとロックが融合したり、ロックとクラシックが融合したりという試みが盛んな時。
後に「Fusion」と呼ばれるようになったジャンルも当初は「クロスオーバー・ジャズ」なんてスイングジャーナル誌では呼ばれていた。
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こうして映画で改めて観てみると、このバンドの曲はメロディがしっかりしている。
とてもキャッチィなんですね。

ギターのブライアン・メイもロックのギターに新しい奏法で影響を与えたので有名。
宇宙工学を研究して、暖炉の木材を素材に自作のギターを造り、バンド解散後に天体物理学の研究を再開し、博士号を授与された理系の人だけのことはある。

そして、独特のサウンドを生み出すオーバーダブ(音を重ねて行くやり方)。
まだ、アナログの時代だし、音を重ねて行くのもマルチ・トラックをやりくりしたり、最大で24チャンネルのテープをどう使うかなど、観ていて僕自身が仕事で経験した当時のレコーディング風景が懐かしく蘇ってきました。
仕事の中でも、音楽録音が一番ストレスが無くて楽しかったからね。
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そして、彼らの代表曲ともいえる「We will rock you」が生まれる場面が楽しかったですね。
ドンドンチャというリズムが、こんな風にして生まれたとは…。

この曲は、コナ・レース当日の早朝、女子レースが始まる前にレース参加者が全員で手を繋いでの「お祈り」のセレモニーが終わった途端に「ドンドンチャ」というリズムに合わせて準備したカヌーを海に次々に浮かべてスタートに向かう時に使われる曲なのです。

早朝の光の中、厳粛な気分から戦闘モードに一気に転換させてくれる、アドレナリンが一気に沸き立つようなリズム。コナ・レースに出るようになってから、この曲がかかるとあの風景が目の前に浮かぶようになってきた。
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そして、なんといっても最後を飾るウェムブリー・スタジアムでのライブ・シーン!
「サッカーの聖地」を使用した、この圧倒的なスケール感はたまりませんね。

やはり、音楽を素材にした映画でのライブ・シーンというのはスケール感が無いと…。
ジャニス・ジョプリンを描いたベッド・ミドラー主演の「The Rose」という映画でのライブ・シーンも凄かったけど、この映画のスケール感も見事だった。
このあたりから涙腺がジョワジョワとしてきました。
見終わってみれば、アメリカ製作の映画なのに実に生真面目に作られた…という印象の映画でした。

想い出してみれば、この時期にはエイズで無くなった有名人が多かった。
写真家のメイプルソープとか、画家のキース・ヘリング、作家ではアイザック・アシモフ、ダンサーのジョルジュ・ドン、ルドルフ・ヌレエフなんて人も…。

by dairoku126 | 2018-11-21 14:20 | 文化 | Comments(0)

刺し子展@北鎌倉古民家ミュージアム

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北鎌倉にある古民家ミュージアムで、刺し子展があるという新聞広告が出ていました。
その広告を持って行くと入場料が100円割引になるとのこと。
カレンダーに貼り付けて、初日の今日行ってきました。
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円覚寺のすぐ隣、築100年以上の古民家を組み合わせた建物のようですね。
駅から直ぐなのでブラブラと歩いている人も多い。
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中に入ると、素晴らしい作品が沢山並んで居ます。
聞き覚えのある声で説明している方が居ると思ったら、このブログにも書きましたが、2010年に東北をグルッと回った時に米沢でお目にかかった遠藤きよ子さん。
刺し子の巨匠と再びお目にかかるとは…。
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これは橇を引く時の衣装に刺し子を施したもの。
右肩から斜めに引き綱を架けるのでしょう、左の腰にかけてフラップ状に刺し子を施した当て布が見事です。
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糸の太さを変えたり、新しい意匠のものが以前に米沢で見た時よりも増えていました。
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これも様々な模様を組み合わせたもの。
僕もテーブルクロスに様々な意匠を組み合わせたものを作ったことがありますが、こういう余白を活かしたやり方も良いですね。

これ以外にも南部の「こぎん刺し」や、絹の着物に絹糸で刺した(刺繍とは違う)刺し子のものなど、多数展示されています。

ミュージアム・ショップで刺し子糸を見ていたら、お客様を案内してきた遠藤先生と話すことも出来ました。今日の午後に米沢に戻るとのこと。初日に行って良かった。

展示会は、今日から来年の1月6日まで…。
古民家ミュージアムのホームページ(https://www.kominka-museum.com)がなぜかアクセス出来ない状態になっていますが、駅から徒歩2分とのこと。



by dairoku126 | 2018-11-01 16:13 | 文化 | Comments(0)

映画『散り椿』

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台風の痕跡が生々しい中、映画『散り椿』を観てきました。
原作を読んだ時には、このブログにも読後感を書いておきましたが、これが映画としてどう仕上がっているか楽しみ。
しかも、撮影・監督は木村大作さん。

映像が美しいのは観る前から分かっていましたが、実際に俳優が演じると原作とは違う感じになりますからね。岡田准一が殺陣を担当したというのも、気になったし…。
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ひとことで言えば、出来の良い映画です。
映像が美しいのは言うに及ばず、キャスティングは芸達者を揃えているし、かなり「質」の良い映画といえるでしょう。ある意味、黒澤明へのオマージュのような気もしてくる。
それこそ「椿三十郎」(こちらはモノクロでしたが)を想い出しました。

殺陣とか血しぶきの上がり方など、岡田准一は意識的に黒澤っぽくしたかったのでは…?
刀を振るう岡田准一の腰の座り方は、尋常じゃないし(笑)
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それにしても、日本の風景の美しさというのが際立つ映画です。
富山県が主なロケ地のようですが…。

タイトルバックに並ぶ名前は、すべて自筆というのも面白かった。
照明部とか撮影部の助手たちがお習字のようなキッチリとした字を書いている。
俳優やメインスタッフは書き慣れた感じの崩し方をしているのは余裕の顕れ?
富司淳子さんは、字まで美しかった!

by dairoku126 | 2018-10-02 10:20 | 文化 | Comments(0)

映画『万引き家族』

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カンヌでパルム・ドールを受賞した『万引き家族』を見てきました。
まぁ、詳しい内容は公式サイトを見ていただくとして、いろいろと考えさせられることが多い映画でした。

新自由主義が世界を席巻してから、かつての社会や家族が直面させられている数々の問題をコンパクトに提起している映画なんだなと改めて思った。
日本だけの問題ではなく、現在の世界が抱えている問題を描いて居るからカンヌでも共感を得ることが出来たのでしょうね。
インスタグラムやFacebookに日々更新されている「素敵な生活」の裏側では、こんな現実があるということを突きつけられた感じです。
樹木希林の別れた夫の子供(緒形直人)の営む表社会の健全な家庭との対比があるから、そこら辺が余計に際立ってくる。

そんな生活の中でも、人間というのは生きるよすがとして「幸福」や「優しさ」を糧として生きていく。ある意味では、逞しくもあり、また健気ともいえる。
法律に照らしてみれば「違法」なことばかりやっているのに、映画を観ている誰もが寄り添って暮らす「家族」を応援してしまう。
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それにしても、芸達者をこれだけ揃えたキャスティングの良さが映画を支えている。
樹木希林は別格として、リリー・フランキーと安藤サクラの夫婦もリアリティを感じさせてくれるし、松岡茉優も上手さが際立っている。
そして子役達が素晴らしいですね。

ずしりと思い映画でしたが、見る価値のある映画には違いありません。



by dairoku126 | 2018-06-21 11:08 | 文化 | Comments(0)

映画『蚤とり侍』

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小松重男の小説を良く読んだのは30年ほど前のこと。
とにかく「でんぐり侍」とか「ずっっこけ侍」、「蚤とり侍」、「川柳侍」などタイトルからして面白かった。侍もののスラップスティックぽいものが多かったですね。
それ以外にも「御庭番秘聞」とか「御庭番秘聞外伝」など読んでいて楽しかった。
これをどう映画化するのか?
キャストを見ただけでワクワクするような芸達者が並んで居るし…。
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いやぁ、良く出来た映画です。
「蚤とり侍」とは、猫の蚤とりをするという建前の、謂わば”売笑夫”。
淋しい女性達の心と体を温めてあげる流しのホストのようなもの。
ホントにこんな商売があったかどうかは分かりませんが…。

映画は「蚤とり侍」をベースに「唐傘一本」と「代金百枚」をプラスして脚本を書いたようですが、この監督は良いね。
演出のキレが良いし、それを演じる役者達も監督の意図をしっかり把握して応えている。

寺島しのぶが演じるのは、田沼意次の妾役ですが主人公の妻とそっくりという設定です。
主君の逆鱗に触れて藩邸を追い出された主人公が、身過ぎ世過ぎのために「蚤とり」商売を始めた最初の客。侍の意識が抜けないままに、翻弄され「へたくそ!」と罵られしょげ返る。
そこに現れたのがトヨエツ演じる商家の入り婿。
希代のプレイボーイとして名を馳せた男に「色事指南」を申し込むのですが、トヨエツの濡れ場をのぞき見する阿部寛の表情が良い!
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大竹しのぶと風間杜夫の夫婦も、普段の演技とは違う味を出していました。
役者さんというのは、監督によって左右されますよね。
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意外と良かったのが前田敦子。
トヨエツの妻役ですが、亭主の浮気を許せない癇性持ちの女役を照れずに演じていました。
それ以外にも、桂文枝の田沼意次なんてのも良い味だしてます。

衣装も婆娑羅な雰囲気を出していて、良かったし…。


      

by dairoku126 | 2018-05-22 15:50 | 文化 | Comments(0)

映画『空海ーKUー KAIー美しき王妃の謎』

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夢枕獏の原作を日中合作で映画化した、評判の映画「空海ーKUーKAIー」を見てきました。
さすが、チェン・カイコー監督だけあってお金のかかった作品になっています。
当然ながらCGオンパレードなんですが、日本のCGスタジオが何社もタイトルバックに並んでいましたから、ここら辺の作業は日本の技術が活かされているのでしょう。
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ストーリーは、長安に留学した空海が詩人・白楽天と一緒に長安の街で起こる不可解な権力者の死や怪事件を探るうちに、約50年前に唐に渡った阿倍仲麻呂が鍵を握っていることを突き止める。日本に帰らず玄宗皇帝に仕えた仲麻呂と楊貴妃が見た「極楽の宴」とは…。
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中国映画得意の「吊りメーション」をふんだんに使ったアクション・シーンも派手だし、長安の街(実際に建てたらしい)や王宮のセットなどの質感もしっかりしていて見せ場はたっぷりな映画です。美術と衣装にお金がかかっているので見応えがあります。

まぁ、空海は狂言回しというかシャーロック・ホームズのような役割で、白楽天がワトソン君と考えた方が良いかな。けっして、空海の留学中の勉強を描いた物語ではありません。
ネタバレ風になりますが、実は猫が主役の映画だったとは…!

こちらに、映画情報を挙げておきますが、キャスティングも良かった。
「カネ、返せ!」と思わない、良く出来た映画ですよ。

     

by dairoku126 | 2018-03-01 15:49 | 文化 | Comments(0)

映画『僕のワンダフル🐾ライフ』

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泣くだろうな!と思いつつ、やはり見たかったので見てきました。
ハルストレム監督は、数々の犬が主人公の映画を創ってきた人。
忠犬ハチ公をアメリカを舞台に焼き直した「HACHI 約束の犬」でも日本でお馴染みです。
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ストーリーとしては、大好きだった飼い主の少年イーサンと共に育ったベイリーという名前のゴールデン・リトリーバーが飼い主を幸せにしたいという想いを残して死んでしまうのですが(まぁ、犬の寿命と人間の寿命は違うから…)、3度目に生まれ変わって淋しく暮らす老年期に差し掛かろうとするイーサンに巡り会うというもの。
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公式サイトによればゴールデン・リトリーバーからジャーマン・シェパード、コーギー、そしてセントバーナードとオーストラリアン・シェパードのミックスと生まれ変わるのですが、どの犬もみんな可愛い!特に子犬の時に見せる仕種なんて、それだけで参ってしまいます。

生まれ変わるたびに飼い主も変わるのですが、それぞれの犬への接し方もまちまち。
最後の飼い主は、ホントにひどくてムカつくほど…。
操車場に捨て去られた犬が見覚えのある景色、匂いに導かれるようにイーサンと再会するための伏線と分かりながらも、ちょっとムカッとしてしまいました。
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そして、ひとりぼっちで暮らすイーサンの元に戻ったベイリー(その時の名前はバディ)が、自分がベイリーの生まれ変わりであることをイーサンに理解してもらおうとする場面では、その健気さに涙が出てしまいます。

”犬生”の目的犬は、飼い主を幸せにすること。今を一緒に生きること。
こんな風に、愛した犬と巡り会えるのは夢ですね。
見終わって、気持ちがたまらなく温かくなる映画でした。

by dairoku126 | 2017-10-05 11:41 | 文化 | Comments(0)