『日本海軍、錨揚ゲ!』阿川弘之、半藤一利

e0171821_17091779.jpg元海軍大尉・阿川弘之と歴史探偵・半藤一利が箱根で2日間、日本海軍について語り合った対談をまとめたもの。
第一話『空前絶後の巨大戦艦・「大和」と「武蔵」』から始まり、第二十六話『ロイヤル・ネイビーの伝統を守ろうとした日本海軍』まで、主に太平洋戦争当時の帝国海軍について話し合っているのですが、面白い話が次から次へと出て来る。

阿川弘之が予備学生制度で海軍を受けた時に、最終面接で3人の面接官(佐官クラス)に「なぜ、海軍を志願したのか?」と訊かれ、「陸軍が嫌いだからです」と答えたら、全員がニヤッと笑ったなんて話も…。これ以外にも、当意即妙な答を求める質問が飛んで来たらしい。
例えば「6つの菓子を5匹の猿に分けるには?」なんて質問には「ムツかしゴざる」というのが正解らしい。ユーモアとウィットを重んじる海軍らしいといえば良いのか?

合格すれば兵曹長と少尉の間、落ちたら召集令状が来て大学卒でも陸軍なら初年兵ですから、その後の運命は天と地の差。
めでたく合格して、通信士官・暗号解読の仕事をしていたようですね。
凄いのは、この対談の時に二人とも80歳は超えていただろうに、記憶力がまったく衰えていない。資料を持ち込んでいるのかもしれませんが、名前が出て来ると、即座に海軍兵学校の年次や戦歴が出て来るのには驚かされます。

明治維新から英国海軍を模範とし、親英国色の強かった海軍が日独伊三国同盟に反対し、最後は陸軍に押し切られるように賛成したのが日本の運命を変えたのかもしれませんね。三国同盟締結以来、海軍士官は英国に留学できなくなりドイツに留学したのですが、そこで待っていたのはドイツのハニー・トラップ。陸軍のように派閥争いは無かったものの、海軍部内では最後には親独派というのが微妙に形勢されていたとか。
まぁ、老後の東郷平八郎がいろいろと口出ししたのが良くなかったなんて話まで出て来ます。

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ついでに、この本も…。
上の対談では、海軍士官らしく紳士的にインテリジェンスに溢れた姿を見せてくれる阿川弘之ですが、家族の前ではいかに暴君であったかと死後に娘の阿川佐和子が書き下ろしたもの。

死の直前に父親の病室で「俺が死んだら、あちこちから父親のことを書けと言ってくるだろうが”父は偉大でした”なんてみっともないことは絶対にするな!」と固く戒められていたようですが、”悪口なら父も本望だろう”と書いただけに亭主関白ぶりは凄いもの。
亭主関白というよりは、専制君主に近いですね。

微笑ましいエピソードもあり、上手にバランスを取っています。
ちなみに、佐和子が聴いた父の最後の言葉は、”まずい!”だったとのこと。
死の前日に、差し入れの料理を作って持って行った時のことらしい。

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by dairoku126 | 2018-06-14 18:04 | | Comments(0)


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