『モダン』原田マハ

e0171821_17480642.png題名の通り、ニューヨーク近代美術館を舞台にした短編集です。
今では、英語名The Museum of Modern Artの頭文字を省略した「MoMA」と親しまれている美術館。

20世紀以降の現代美術をはじめ、建築、商品デザイン、ポスター、写真、映画まで「美」の対象として収蔵して展示するというやり方は、いかにも新興国アメリカらしいし、従来の美術館とは違う存在として特異な輝きを放っている。生活のさまざまなシーンにあるものに「モダンアート」という新しい価値で定義づけて来ました。

デンマークのBang & Olufsenの商品は、18も認定されている。
認定された商品は販売されていて、日本にもMoMA Design Storeがあります。僕もフランス製ののサングラスを持っていますけど…。

著者の原田マハは作家になる前、森ビル森美術館設立準備室に所属していたときにMoMAに研修勤務していたことがあるとか。その間に見聞きしたことにフィクションを加えて、連作短編に纏めたのがこの本です。だから美術館の仕組みまでキチンと書いてある。

5篇の短編は、MoMAのさまざまな部署に勤務する人物が主人公となっています。
それぞれの人物が感じるMoMAへの愛情が色濃く描かれていて、全体を読み終えるとMoMAの歴史と価値観が浮き彫りにされてくるという構成になっている。僕が一番好きなのは美術館の守衛を主人公になっている「ロックフェラー・ギャラリーの幽霊」という一篇でした。
それ以外にも、「楽園のキャンバス」でも登場したトム・ブラウンとティム・ブラウンが、ここでも登場して良い味を出してくれていたのにはニンマリとしてしまいました。

そして、全編を通してN.Y.で起きた9.11と東北の3.11が通奏低音のように響き合って、それぞれの短編に影を落としていることでしょう。単なるMoMAの紹介だけで終わらずに、「人間」のドラマを紡ぎ出したところに奥行きを感じさせてくれます。

コンテンポラリーな「モダンアート」を通して、現代社会に暮らす人間を描いた小品です。

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by dairoku126 | 2018-04-22 10:19 | | Comments(0)


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