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『タモリと戦後ニッポン』近藤正高

『タモリと戦後ニッポン』近藤正高_e0171821_1043407.png正月に帰ってきた息子が貸してくれた本。
なかなかに良く書けた(というか調べた)タモリ本です。
1945年8月15日の終戦から1週間後に誕生したタモリ(森田一義)と戦後70年のニッポンとをダブらせて考察したもの。
なかでも、満州帰りの祖父母から受けた影響がタモリの精神形成に大きく関わっているとの話が「なある!」という感じでしたね。

それ以外にも、過去にタモリがインタビューで語ったこと、タモリに関して書かれた本、タモリについて関係者が語ったり書いたりしたことを実に丹念に読み込んであるのには感心しました。

ただ、ハナモゲラ語というかインチキ外国語芸に関しては肝心な名前がスッポリと抜けている。僕も含めてタモリと同時代にラジオやTVで育った人間には必ず出てくる”バンサ”こと「藤村有弘」という名前が…。
そう「ひょっこりひょうたん島」のドン・ガバチョの声。
実に洗練された”芸”としてTV初期の音楽バラエティには欠かせなかった人です。
48歳で亡くなったのが、タモリのデビューした頃と重なりますね。
タモリの方が、さらにアイディア満載の”芸”にはなっていますが…。

まぁ、同時代に育ってない人が資料だけに頼って”歴史”とか”時代”というものを分析というか構築するときに「やりがちな」ことではあるんですけど…。
その時代の空気を吸ってないから、自分の集めた資料で勝手に辻褄を合わせてしまうことは多々あるものです。
僕の会社時代にも若手の”優秀な研究員”が広告の歴史をまとめたものを発表するというので聴きに行ったことがありますが、小川ローザの”Oh!モーレツ”というCMを抜きにして”モーレツからビューティフルへ”という広告を語っていたことに違和感を感じたことがあります。
高度成長期の「行け行けドンドン」を象徴したようなCMでした。
この感じが分からないとXeroxが高度成長期のアンチテーゼとして加藤和彦を起用した「ビューティフル」というヒッピー・テイストのCMの価値が分からないのでは…。

ということで、YouTubeにあったので…
    
by dairoku126 | 2016-01-10 11:37 | | Comments(0)


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