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中村うさぎ、佐藤優「聖書を語る」

中村うさぎ、佐藤優「聖書を語る」_e0171821_1326971.jpg対談する2人が異色だし、その2人が「聖書を語る」というのは、どんなもんかいな?という野次馬根性丸出しにして読み始めたのですが、いやぁ畏れ入りました。

中村うさぎといえば、病的なブランドものの買い漁り、ホスト狂い、デリヘル嬢体験などといった常識破れな行動で有名。
かたや佐藤優といえば「外務省のラスプーチン」と言われ、鈴木宗男議員との関係で背任容疑で逮捕され、偽計業務妨害容疑で再逮捕。512日間拘留されたという異色の経歴を持つ元外交官。
もっとも、佐藤優は藤原正彦との対談が面白かったので興味はあったのですが…。

佐藤優は同志社大学の大学院神学研究科前期課程を修了し、神学修士なのです。外交官としての勤務のかたわら、モスクワ大学哲学部に新設された宗教史宗教哲学科の講師(弁証法神学)というバリバリの神学者でもあるのです。
また、中村うさぎも同志社大学の出身(文学部ですが、まぁミッション系には違いない)。

僕もクリスチャンの家に育ったので子供の頃には鵠沼の教会の日曜学校に通わされていたし、まぁ聖書の内容についての知識も僅かにあるとは思ったのですが、プロテスタントの中でもカルヴァン派とバブテスト派との違いなんて分かりませんでした。
ここで語られて行くのは主にプロテスタンティズムでの話が多いのですが、深いところで語られる聖書の内容については、まさに「目から鱗」でした。

作品の内容についてはこちらを見ていただくとして、第2章で取り上げられる「村上春樹の『1Q84』とサリンジャーを読む」では白熱した議論が面白いし、村上春樹がキリスト教的な知識がないために誤訳している部分などまでさらけ出されてしまうというオマケ付き。
さらには「新世紀エヴァンゲリオン」にまで議論が及んでいく。
第3章は3.11直後だったために「地震と原発」ということをテーマに語り合っています。

サブカルチャーにも触れながら、宗教の現代的な意味を問う対談は面白いものでした。
続編「聖書を読む」も出ているようですが、文庫になってからでも遅くはないでしょう。
by dairoku126 | 2014-07-17 14:07 | | Comments(0)


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