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「高台にある家」水村節子

e0171821_13583031.jpg昨年の1月にブログに書いた『水村美苗「母の遺産 新聞小説」』の母=水村節子が書いた自伝的小説。
娘(水村美苗)が書いた方も面白かったけど、母の方はもっと凄絶な小説になっています。

五歳の時に預けられた、横浜にあるハイカラな家。
伯父は外国航路の船長で、昭和初期の当時としては珍しいピアノや外国から持ち帰った品々が溢れ、ナイフとフォークで西洋料理を食べている。
父方の伯母が差配する西洋の雰囲気に満ち溢れた、この家の娘であったらと夢見る少女は、移り住んだ関西の長屋で、無教養な母と若い父のもとに育つ。複雑な親族関係や出入りする人間の会話から、やがて芸者だった母の過去と、自分が庶子であるという事実が明らかになり…。

明治から大正、そして昭和と参政権どころか人権さえも存在していないような母の人生が明らかになるにつれ、横浜の高台にある家への憧れは、さらにいや増して行く。
叔父さんだと思っていた人が、自分の異父兄であったり、登場人物の人間関係が複雑で相関図でも作ろうか、と思うほど芸者であった母の人生は時々の事情により浮き草のように押し流されるまま。それでも、しぶとく生き抜いていく母…。

社会階層がハッキリと分かれていた時代ですから、それぞれが分相応な「幸」を見つけて満足していたのでしょうが、ミッションスクールを出た彼女は「高台にある家」への憧れを捨てること無く、行儀見習いとして伯母の家に移り住むことに成功! 新たな世界へと踏み出していく。

70歳を過ぎてから文章教室に通い、書きためてきた短編を小説家としてデビューした娘(水村美苗)が手を入れて長編小説として完成させたもの。水村美苗は手を入れながら「この話は、私が書きたかったのに…」と複雑な思いに囚われたそうです。

水村美苗を含めた四代の女性たちの生き様は、それぞれが生きた時代の世相を映しだす鏡のようです。
by dairoku126 | 2014-02-17 14:47 | | Comments(0)


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