人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「私本・源氏物語」

「私本・源氏物語」_e0171821_17112131.jpgいやはや、結構クスクスと笑えました。
著者の田辺聖子は、自ら「源氏物語」の現代語訳もやっていますが、これは裏側から見た「源氏物語」とでもいうべきパロディ本。

光源氏のお供といえば「惟光」というのが原作でもしばしば登場しますが、この本の語り部は惟光のさらに部下の「伴男」という中年のおっちゃん。
このオッちゃん、大阪弁丸出しで光源氏の恋の道行きを差配していくのですが、男女の機微なんか若さと地位に恵まれた光源氏に分かるわけが無い!とばかりに、時には主従関係を超えて光源氏に説教したり、恋の手助けを先方の女房などと取り持ったりして大活躍。
光源氏も、もちろんプライベートな場面では、大阪弁丸出しでワガママを惟光・伴男に言いたい放題という田辺聖子らしい趣向となっています。
まぁ、お馴染みのカモカのオッちゃんの如く、訳知りで「人生の達人」ぽい語り口で、原作の「雅」とは打って変わった「俗」な源氏物語に仕上げています。

好評だったらしくシリーズ化されたようで、「紫の上」の目線から語るものもあるらしい。
この作品では、原作と対比すると須磨・明石までのパロディとなっていて、登場する女性達は夕顔、紫の上、葵の上、末摘花、源内侍、朧月夜の内侍、花散里、六条御息所、明石の上といったところ。それぞれの女性達の特長を、よく掴んでいると感心してしまいます。

実は、この本を見つけてから原作(瀬戸内寂聴版)の方も読み返しているのですけど、読んでいて良く分からないところも、このパロディ版を読んで「そうだったのかぁ!」と思うこともしばし。難解な作品を、手元にグッと引き寄せて洒脱に説いているからでしょう。

このシリーズの続編を読むのが楽しみになってきました。
by dairoku126 | 2013-10-18 17:51 | | Comments(0)


<< 茅ヶ崎レース 「湘南マジック」 >>