年末は、TVも特番ばかりで見ていてもつまらないので、最近はTVを消して音楽を聴きながら、長火鉢にべったりと張り付いて本を読んだり、手仕事をしたり…。
もともと大好きな一枚だったのですが、この季節の夜に聴くと染み込むように心地よいのが、
ジェリー・マリガンの「Night Lights」という63年録音の盤。
ジェリー・マリガンはそれまで脇役だったバリトン・サックスで豪快なソロを繰り広げ有名になった人です。
バリトン・サックスのソロ・プレイヤーで、他に僕が知っているのはペッパー・アダムスくらいかな?
フル・バンドならエリントン楽団のハリー・カーネイとかベーシー楽団のチャールズ・フォークスとか、やはり脇役として上手な人は幾らでも居ますが…。
さて、この「Night Lights」の魅力は、豪快さというよりソフィスティケーションの妙。
アート・ファーマー、ボブ・ブルックマイヤー、ジム・ホールといった趣味のいいミュージシャンとの共演で、ベースはビル・クロウ(村上春樹訳の「
さよなりバードランド」の著者)、ドラムスはデイブ・ベイリーとマリガンのオリジナル・カルテットからのリズム陣。
エレガントに、そして知的かつ繊細なサウンドで聴く者をうっとりとさせてくれます。
マリガンがピアノを弾いているタイトル曲「Night Lights」はメロディが美しく(クレモンティーヌがデビュー直後の「
コンティノン・ブルー」で歌詞をつけて歌っています)、「カーニヴァルの朝」のジム・ホールのソロも和音を巧みに使った知的なソロだし、ショパンのクラシック曲「プレリュード:ホ短調」をボサ・ノヴァでやったりと、チャーミングな仕上がりになっています。イージーリスニング的だけど、イージーリスニングとはひと味違う極上のジャズになっているところが、素晴らしいのですね。
僕は、アナログ盤とCDと両方持っていますが、こればかりはCDがお勧めです。
なぜかというと、CDにはボーナス・トラックとして、この「Night Lights」を65年に録音したバージョンが入っていて、しかもマリガンはクラリネットでこの曲を演奏しています。
このクラリネットの音色が温かくて、ホントに良いんだなぁ。
ジェリー・マリガンの訥々としたピアノのシンプル・トーンのオリジナル・バージョンと完成度高くアレンジされたものと楽しめるのですから…。
※皆既月食も雨雲で見えませんでした。残念。