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映画「劔岳 点の記」

映画「劔岳 点の記」_e0171821_2037842.jpg映画「劔岳 点の記」を見てきました。
何よりも俳優の頑張りが凄い映画です。演技をするには、その場に自力で行かなければならないのだし、それも半端な登山では行けないような危険なところばかり。
生命の危険さえ、すぐ隣にあるような撮影現場です。
木村大作監督は、本来はカメラマンとして「八甲田山」など自然の厳しさ、美しさを撮らせたら右に出るものはいないという伝説のカメラマン。
今回が初の監督作品だそうです。CGを一切使わず、映像はあくまでも美しく、厳しい自然を映し出しています。同時に、すべて生身の俳優がカラダを張って、現地で大自然の猛威を相手に演技をするという、常識では考えられないリアリズムに徹した映画です。
だから、表情にも緊張感が漲っているし、台詞にも緊迫感が漂っています。
実際、雪崩に巻き込まれるシーンや、滑落シーンでの必死さは演技というより、「反応」という切迫感が伝わってきます。
また、年に何回かしか見ることが出来ないという日本海側の劔岳から望む太平洋側の富士山の映像など、どれだけ粘ったことか。ホントに見えるのですね。ビックリすると同時に、なるほど富士山は日本一高い山なんだ!ということを実感させられます。
僕も名古屋の会社のあったビルの12階の窓から、富士山の一番アタマの部分というのを見たことはありますが、それも正月明けの空気が澄んだ時だけに限られました。
山にせよ、海にせよ、大自然が牙をむいた時の凄さというのは、人間の小ささを教えてくれるものです。強風の中を新島からモータークルーザーで帰る途中、大島から吹き下ろす風で、島の周囲の海面が高さ2mくらいの霧状に泡立っているのを見たことがあります。そこを抜ける間中、息が詰まりそうになるくらい、海水の壁のが続くのです。
心底、海が恐いと思いました。海や山の神様を祀るという信仰は、日本では古くからありますが、そんな気持ちが理解できると思いましたね。
ちなみに、この映画の出演者に「もう一回やるという話が来たら、どうしますか?」と訊いたところ、ほとんど全員が「…」となったそうです。
余談ですが、平塚のシネプレックスで見たのですが、この上映館だけは平均年齢が異様に高かった。
by dairoku126 | 2009-07-04 21:23 | 文化 | Comments(0)


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