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R.I.P! トゥーツ・シールマン氏

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大好きなハーモニカ奏者&ギタリスト、トゥーツ・シールマン氏が、94歳で亡くなりました。
今日の朝刊で知ったのですが、N.Y.タイムズ紙では大きく取り扱っています。

僕が最初に聴いたのは、映画「真夜中のカウボーイ」の主題歌。
この映画は、ダスティン・ホフマンが鮮烈な印象でしたが、それにもまして主題歌で流れるハーモニカの叙情的な音色が堪らなかった。
このハーモニカを吹いていたのが、トゥーツだったのは、後で知りました。
まぁ、この人ほど多くのミュージシャンと共演したした人は居ないと思われるほど、ジャンルを問わず美しい音楽を紡いで来た人は居ないのでは…。

古くはチャーリー・パーカー、ベニー・グッドマンから始まり、ジョージ・シアリングやマイルス・ディヴィス、クインシー・ジョーンズ、ビル・エヴァンス、スティービー・ワンダー、いちいち名前を挙げていたらキリがありません。
「ここで、ひと味欲しい」という時には、真っ先に呼ばれる人だったんでしょうね。
というか、彼と共演することが一流の証というように徐々になっていったんだろうな。

彼にレコーディングで付き合ってもらったブラジルのミュージシャンたちが感謝の気持ちを表した「Brazil Project」は1枚では収まりきれずに2枚になってしまうほど。
だから、我が家にもトゥーツの参加したレコードやCDは棚のあちこちに散らばっています。
ハーモニカはもちろん、ギタリストとしても凄腕。
ギターでのアドリブを口笛とのユニゾンで展開していく様は、まさに彼だけの”芸”でした。

僕が一番覚えているのは、1982年のAurex Jazz Festivalの時のこと。
このフェスティバルの撮影は第1回のベニー・グッドマンの時から担当していたのですが、この年の撮影に予定されていたのがジャコ・パストリアスでした。
来日したばかりのジャコと打ち合わせをするというので、京王プラザホテルに赴いた時に、先着していたトゥーツも到着する仲間たちを迎えようと待ち構えていたのでしょう。
ロビーを歩き回っていたトゥーツに気がついたので、目で追いかけていくと、ソファで誰かと待ち合わせをしていた女性の後ろから忍び寄り、ポケットからハーモニカを取り出して「リンゴの木の下で…」という曲(サントリーのCMに出演した時にも、この曲でした)をソッと吹き始めたではないですか!
驚いた女性が振り返ると、茶目っ気たっぷりに微笑みながら何かを話していました。

そして、ジャコが到着するとハグをしながら、話をしていたと思ったらロビーに置いてあったピアノをジャコが弾き出し、トゥーツがハーモニカで応えるというセッションがいきなり始まったのです。無粋なホテルマンが駆け寄ってきて、止めてしまいましたが…。
問題児といわれたジャコが父親のように慕っていたトゥーツ、優しい笑顔で包み込むように誰でも受け止めてくれる性格だったんでしょうね。

どんな難曲でも、美しいメロディに変えてしまうので聴いていると、凄くシンプルな易しい曲に聞こえてくるから不思議です。実際に譜面を見て、自分でアドリブを考えると「どうすりゃ良いの?」というような曲までも…。
それだけ、コード進行を読む力が優れていたのでしょうね。
合掌!

   

by dairoku126 | 2016-08-23 15:15 | 音楽 | Comments(0)


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