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『秀吉と武吉』城山三郎

『秀吉と武吉』城山三郎_e0171821_13334629.jpg武吉とは、村上水軍の長であった村上武吉のこと。
戦国時代に瀬戸内海を暴れ回った海賊衆・村上水軍のことは、白石一郎の直木賞受賞作「海狼伝」で知ってから、村上水軍のことを描いた本はなるべく読むようにしてきましたが、これは見落としていました。本屋さんの棚を見る時にも、城山三郎の本は飛ばしていたからかもしれない。
終戦直前に特別幹部候補生として海軍に入った城山三郎は、やはり海に思い入れがあるようですが、この本を読むまでは知らなかった。本というのは、まさに出会いなんですね。

この本は三島(能島、因島、来島)村上と言われた村上水軍が、豊臣秀吉によって翻弄されていく姿が描かれています。
天下統一を目指す戦国末期の時代の波に呑まれるように…。
特に能島村上の長であった村上武吉が、秀吉に目の敵さながらに扱われ、ギリギリまで追い詰められて行く様が哀れを誘います。瀬戸内海に面して勃興してくる毛利家と村上水軍衆との関係、その中でも小早川隆景と村上武吉との絆を軸に物語が展開して行く。
そして、朝鮮出兵、関ヶ原と時代が動いていく中で、村上水軍はどうなっていくのか?

時代の波に翻弄された集団の姿を、企業小説で培った筆力と分析力で描いて行くわけですが、これは大資本にモノをいわせて無理を迫る「大企業」と「零細企業」の戦いとも読むことが出来るような気もします。
by dairoku126 | 2016-04-02 14:02 | | Comments(0)


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