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『散り椿』葉室麟

『散り椿』葉室麟_e0171821_15173756.jpgいやぁ、読み出したら止まらなくなりました。
直木賞受賞後に書かれた小説の中でも、僕の中ではかなり上位にランク付けできる物語です。
『千鳥舞う』と『螢草』の間に書かれたようですね。
どちらも葉室麟らしい女性が主人公の物語で、いずれも大好きな作品。凜と生きる女性が主人公ですが、後味の良い読後感がこんな時代には貴重なものに思える作品でした。

Amazonの紹介には『かつて一刀流道場の四天王と謳われた勘定方の瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え藩を追われた。
18年後、妻・篠と死に別れて帰藩した新兵衛が目の当たりにしたのは、藩主代替わりに伴う側用人と家老の対立と藩内に隠された秘密だった。散る椿は、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるもの―たとえこの世を去ろうとも、ひとの想いは深く生き続ける。秘めた想いを胸に、誠実に生きようと葛藤する人々を描いた感動長編!』とありますが、若き日に剣を通して培った友情と藩の内紛を題材にした『散り椿』を読みながら、僕は藤沢周平の『用心棒日月抄』を想い浮かべていました。
選考委員だった宮部みゆきが、直木賞選考時に「藤沢周平を思わせる正攻法の歴史小説で、ほぼ全会一致で決まった。漢詩を心に残る形で使うなど、教養の高さが物語に厚みを与えた」と講評したように、この作品でも和歌が大きな鍵を握るように巧みに使われています。
そこらの使い方が、藤沢周平とは一線を画す葉室麟の魅力なのかもしれませんね。
by dairoku126 | 2015-01-16 15:40 | | Comments(0)


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