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「枕草子REMIX」「徒然草REMIX」「都と京」酒井順子

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なぜか、読み出したら止まらなくなったので、続けて読んでしまいました。
2つの「REMIX」ものはエッセイスト・酒井順子が、大人になってから読んだ「古典」の愉しさー自分が共感できる部分などを探りながらーを平易に読み解いてくれるもの。

「枕草子」の方では、男・友達・恋・ブス・おしゃれ・老いetc.いつの世も変わらず女が気にするこんなトピックを、清少納言はどう見ていたかということを、平成の女言葉に大胆に変換した訳文も交えながら理解しやすいカタチで提示してくれています。

「枕草子REMIX」では、随所に清少納言と酒井順子の架空対談があり、それがまた面白い。
「徒然草REMIX」の方では、吉田兼好と清少納言の架空対談になっていて、2つの随筆の時代背景の違いー「徒然草」は武士が勃興して、貴族たちが圧迫され始めた時代ーを浮き彫りにして行く。この2つの随筆が、清少納言と吉田兼好の自意識・美意識が強く打ち出されたものだということが、逐語的に現代語訳されたものを読むよりも、よーく分かります。
そして自分の周りにも、「あ、こんなヤツいるいる!」とか「なんだ、今とまったく同じじゃないかぁ!」と肯かされることばかり。前に読んだ「紫式部の欲望」と同様に古典を、グッと身近に引き寄せてくれる古典解説本となっています。

「都と京」は、東京と京都という新旧の「都」を比較して、そこにある差異にフォーカスを当てたエッセイ。京都を訪れるたびに、僕も感じてきた違和感(?)が明快な筆致で解き明かされていきます。僕も経験したことがありますが、京都のお年寄りの中には、いまだに「東京」といわずに「江戸」という人もいるし…。
逢坂の関を超えたら「東夷(あづまえびす)の住むところ」という意識があるのでしょうか?
そこら辺の意識は、清少納言の時代から変わらずに受け継がれているとしたら驚きですが…。

というのも、狭い土地で千年続く歴史から生まれた「しきたり」と共存する「京都」から見たら、新しいものをどんどん取り入れて新陳代謝を繰り返す「東京」というのは"異国"に他ならないでしょうし。極論すれば、中華思想でいう「蛮夷の池」。
日本中に「小東京」と「小京都」が溢れているのは、日本人の心性として、そのどちらにも憧れがあるような気もします。

かといって、京都人は新しいものは大好きだし、好奇心もタップリあるんですよね。
ただ、取り入れ方が違うというか、じっくりと時間をかけて、いつの間にか"日本化"してしまう能力に長けているのでしょうね。

東女(あずまおんな)が、異文化「京都」に出会って以来の発見・疑問・驚きを、「言葉」「節約」「神仏」「若者」「敬語」「女」など、19の観点から鋭く考察した面白い本でした。
by dairoku126 | 2014-11-11 12:48 | | Comments(0)


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