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「長屋シリーズ」-人情小説傑作選

「長屋シリーズ」-人情小説傑作選_e0171821_1724564.jpg評論家・繩田一男が編んだ人情小説のアンソロジー集。
<親子>がテーマの「親不孝長屋」、<夫婦>がテーマの「世話焼き長屋、<老い>をテーマにした「たそがれ長屋」の3編で完結する予定だったものが、好評につき<職人>もしくはそれに準じる人物を描いた「がんこ長屋」が追加され、4編の「長屋シリーズ」として完結したものです。

繩田一男が選んだだけあって、錚々たる著者名が並んでいます。
池波正太郎、松本清張、平岩弓枝、山本周五郎、宮部みゆき、藤沢周平、五味康祐、宇江佐真理、柴田錬三郎、山本一力、北原亞以子、乙川優三郎、村上元三…。
読んだことのない作家もいたけど、レベルが揃った逸品ばかり。
4冊とも第一話が池波正太郎というのも、編者の意図を感じます。

解説を読んでいたら、バブルの頃は家康とか信長とか「戦国武将もの」がビジネスの副読本というか、組織論とかリーダー論の副読本ぽい扱いで読まれていたのが、バブル崩壊後・特にリーマン・ショック以降は「人情もの」が売れているとのこと。
能力主義だリストラだ!とか、親の育児放棄や子の親殺しなどニュースを見れば心が落ち込むような事件ばかり。世の中が荒んでいるからこそ、慎ましくも温かい、人と人との触れあいをテーマにした「人情味」溢れる物語が求められているのでしょうね。

どの一編を読んでも、唸るほどの名品が揃っています。
by dairoku126 | 2014-10-04 17:55 | | Comments(0)


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