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「腰抜け愛国談義」ー半藤一利・宮崎駿ー

「腰抜け愛国談義」ー半藤一利・宮崎駿ー_e0171821_1033432.jpgゼロ戦設計士・堀越二郎をモデルにした最新作「風立ちぬ」で、話題を醸している宮崎駿が、たってのお願いということで実現した対談集。立ち読みしたい方は、こちら

宮崎駿の対談集というと、堀田善衛・司馬遼太郎との鼎談集「時代の風音」が面白かったので期待していたのですが、今回もそれに劣らず、さまざまなことを語り合っている。
第1部「悪ガキたちの昭和史」、第2部「映画『風立ちぬ』と日本の明日」の2部構成。半藤一利が映画「風立ちぬ」を見る前と、見た後と2回に分けて7時間語り合ったとか。
まぁ、昭和という時代を語る「雑談集」とでもいうものか。

文春ジブリ文庫の説明には「宮崎駿監督が「かねてからお目にかかりたかった」という昭和の語り部・半藤一利さん。
「漱石好き」という共通点からふたりはたちまち意気投合。宮崎作品最新作『風立ちぬ』で描かれる昭和史をたどりつつ、持たざる国・日本の行く末を思料する――7時間余にわたってくり広げられた貴重な対談を完全収録した、オリジナル作品。」とあります。

それにしても、夏目漱石から始まり、関東大震災、零戦の話から歴史問題など話題が豊富で読んでいて楽しい「雑談集」です。京都のイノダ珈琲本店で朝イチに集まって来る常連さん達が居るのですが、隣の席まで聞こえてくる常連のお爺さん達の雑談が実に面白く、この対談集を読んでいるとイノダに居るのと同じように隣の席で耳ダンボにしている感じです。

半藤少年が、渋谷駅に忠犬ハチ公の銅像が出来たので見に行ったら、となりにホンモノのハチ公が居て、銅像を見上げながらアタマを撫でてやったとか(この銅像は、死んでから建てられた訳ではないのですね)、ワシントン軍縮会議で海軍の軍艦の保有比率が決まったので建造中止になった軍艦の鉄材を使って隅田川に架かる橋が架けられたとか(それが未だに健在なのですから軍艦で海の藻屑にならなくて良かった!)、荒川放水路の建設も巡洋艦一隻分の予算が余ったので出来たとか(いかに軍事に金がかかるか分かりますよね)昭和史から現在に至るまでの歴史を振り返りながら、この国の行く末を語り合っている。

「腰抜け愛国主義」というタイトル名に込められた意味は深いものです。
by dairoku126 | 2013-08-29 11:19 | | Comments(0)


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