昨年の秋、福岡の中古レコード屋で見つけました。
麻薬から脱却して1975年に復帰して以降、続々とアルバムをリリースしたArt Pepperですが、このアルバムはその中でも、とくに作りが丁寧なのに驚かされます。
単純化された男女のイラスト、そのダブルジャケットを開くと、あらゆる時代のPepperの写真が現れます。
クラリネットを持った少年時代、スタン・ケントン楽団で花形プレイヤーとして活躍していた頃、ウェストコースト派全盛の時代、恐らく麻薬療養所でのスナップ、そして復帰後、最後に夫人との2ショット。
調べてみると、Pepperのその時点(1979)までの、ほぼ完全なディスコグラフィーが別冊附録で付いていたらしいのですが、それはなし。さらに、Pepperのオリジナル「Blues for Blanche」「Diane」の楽譜まで載せていたらしい。
Side A
1. Straight No Chaser 6:16
2. Blues for Blanche 6:43
3. So in Love 11:27
Side B
1. Diane 12:14
2. Stardust 10:28
Art Peper (Alto Sax) with
1.(on Side A-1, Side B-1)Hank Jones (Piano)、Ron Carter (Bass)、Al Foster (Drums) Recorded Feb 23, 1979
2.(on Side A-2,3, Side B-2)George Cables (Piano)、Charlie Haden (Bass)、Billy Higgins (Drums)Recorded May 26, 1979
このアルバムには2つのリズム・セクション。それにしても一流ばかり。
特に、Hank Jonesとの組み合わせは珍しいですが、Charlie Hadenの参加も目をひきます。
やはりピアニストが違うと演奏も変わるのか、と思えたのが「So in Love」でした。
コール・ポーター作曲のこの曲は、「日曜洋画劇場」のテーマといえば「あ〜、あの曲」と分かる方も多いと思います。まぁ、悲愴感漂う大時代的な曲でしたよね。
ゆったりとした悲愴な曲を、George Cablesのモーダルなピアノが、スピード感溢れる非常にハードな演奏に変えています。畳み掛けるような冒頭部はスリリングでカッコいいし、最後のカデンツァが延々と続くのも凄い。さらにPepperのソロもハードだし、泣きの入った音色で勢い良くグイグイと迫ってきます。
対照的なのが、Hank Jonesがピアノを弾いた「Diane」。
ゆったりしたテンポで、優しいメロディに、Jonesの控えめなピアノがそっと絡みます。
僕が買ったレコードは、この曲だけがスクラッチ・ノイズがやたらと多い。
前の持ち主が大好きな曲だったようですね。
700円で買ったのですが、まさに掘り出し物でした!