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源氏物語ー千年の謎ー

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良く働いたことだし、TVも面白そうなものがなかったので、夜は映画を見に行ってしまいました。高山由紀子の小説『源氏物語 悲しみの皇子』を映画化した『源氏物語ー千年の謎ー』。
2時間20分というので「長いな」とも思ったのですが、それほど長さは感じませんでした。

内容は、紫式部が藤原道長の野望の道具に物語を書くことを強いられて「源氏物語」を綴って行く現実の世界と、光源氏が恋を重ねていく物語の世界とが同時進行するというパラレル・ワールド。この二つの世界が時に交錯し、また紫式部の道長への思いと六条御息所の光源氏への思いが重なって、絢爛たる平安絵巻を描き出して行きます。

中谷美紀の紫式部とか田中麗奈の六条御息所をはじめ、藤壺の真木よう子、葵の上の多部未華子など女優陣は上手く嵌まった感じ。生田斗真の光源氏も、東山紀之の藤原道長も立ち姿や舞姿が美しく、ジャニーズでの訓練が生きている感じ。窪塚洋介の安倍晴明が陰陽師らしく二つの世界を行き来するのですが、窪塚洋介の不可思議な感じが活かされて居たように思います。もっとも、藤原道長と安倍晴明とは同時代に生きていたのですが、安倍晴明の方が40歳も年上なんですよね、実際は…。

『源氏物語』を読んで全体のストーリーを知っていると、一体どこまで続いて行くのかと思いつつ見ていましたが、まぁ上手な切り上げ方をしたのではないでしょうか?
ここでも紫式部と光源氏が、交錯しますが…。
CGを上手く使って、平安時代の華やかさを上手に描いてあります。
この手のものって、すぐに安っぽくなってしまうのですが、それを感じさせないのは衣装の素晴らしさなのかな? 衣擦れの音を効果的に使っているのも効いていました。

それにつけても、修羅となった六条御息所の凄さ! 田中麗奈の猫っぽい目が生きてますね。
キャスティングが映画の出来を左右する好例と言えるかもしれません。

ただ、最後に藤原道長が「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」と声に出して詠んでしまうのは、いかがなものか? 
原作は文字ですから、物語の終わりに言葉が並んでいても効果があるのでしょうが、映像化するときに声に出して詠んでしまうのは…ねぇ! 説明過多というか、蛇足というか、満月の姿と道長の満足そうな笑みだけで良かったんじゃないのかな?
藤原道長と聞いただけで条件反射のように「この世をば…」と誰しもが浮かんでくるでしょうに…。なんか誰にでも分かるように作ったアメリカ映画のラストみたい。
日本映画伝統のカタルシスの作り方ってあるはずなんだけどな…。
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by dairoku126 | 2011-12-29 13:22 | 文化 | Comments(0)


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