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蒙霧升降(深い霧が立ち込める)

蒙霧升降(深い霧が立ち込める)_e0171821_16491992.jpg七十二候で言えば、今日までが『立秋』の末候『蒙霧升降(深い霧が立ち込める)』にあたるとか。そんな感じでドンヨリとしていますが、午後になってから、同じ曇りでも南からの風に変わったせいか湿気が上がってきたようです。
この七十二候というのは、俳句の季語にもなっているようですね。
絶滅寸前季語辞典という文庫本を徒然なるままに拾い読みしていたら、あちこちに出て来るのですが、晩春の候「田鼠化して鴑となる」(でんそかしてうずらとなる)なんて季語は、それだけで12文字もあって、残り5文字でどうするんだ?そもそも田鼠(モグラのことらしい)がどうしてウズラになるんだ?と思うのですが、この七十二候というのは中国から日本に入っていたもので、微妙に風土が違うので、江戸時代に日本風にアレンジした「本朝七十二候」というのに変わったらしい。こちらには「田鼠化して鴑となる」のは入っていません。「鴻雁北」(雁が北へ渡って行く)に変わっています。

…とすると、この季語は「本朝七十二候」以前に入ったものなのでしょうか?
そうなると絶滅寸前どころか、誰もそんな季語を使わないよね。

この「絶滅寸前季語辞典」というのは、なかなか面白い本です。「まえがき」にもありましたが、「「死語」になっている季語を歳時記から一掃しよう」という動きが俳句界にもあるようですね。でも、歳時記から消えた時点で永久に抹殺されてしまうということで、俳句新聞「子規新報」の特集として「絶滅寸前季語保存委員会」なるものを起ち上げ、活動を続けてきた委員長である夏井いつきさんが連載されてきたものをまとめたもの。さすがに正岡子規ゆかりの松山ならではの活動ですね。
続編として絶滅危急季語辞典もあります。
文章としては、こちらの方が熟れてきて、さらに面白い読み物になっています。

wikiで調べていて分かったのですが、この夏井さんの師匠筋にあたるのが黒田杏子さん。
僕が会社に入った時には作句を中断していたようですが、1970年代からバリバリのキャリアウーマンとして広告界では有名な方でした。会社を辞めてから、さらに俳句の道を究められているようですね。一芸に秀でる人は、なんでも出来ちゃうんだなぁ。

私は、別に俳句を作る訳じゃありませんが、季語というのはさまざまな生活感が感じられて、「言葉」としても面白いものです。
by dairoku126 | 2011-08-22 16:49 | 季節 | Comments(0)


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