人気ブログランキング | 話題のタグを見る

作戦名『ジェロニモ』

作戦名『ジェロニモ』_e0171821_17113954.jpgウサマ・ビンラディンが米軍に急襲され、その作戦名が「ジェロニモ」だったとのこと。白人相手にゲリラ戦を展開したアパッチ族のシャーマン・ジェロニモの名を冠したのは、ジェロニモの捕縛を最後に、インディアンとの闘いが終焉したことに因んでの願望だったのでしょうか?
そのニュースを聞いたときが、ちょうど読んでいた塩野七生の「十字軍物語2」が佳境に入りつつあった時なのも、因縁めいたものを感じました。

十字軍というのは、もちろん世界史の時間で習いましたし、子供の頃に読んだ「ロビン・フッド」とか「アイバンホー」の時代背景として描かれていたので、大好きな話でした。
日本でいえば、平安時代もそろそろ末期に入り始める頃。
「獅子心王」リチャード1世とか、サラディンなんて名前も、良く覚えていましたし…。

ちなみにThe Crusaders(その前はThe Jazz Crusaders)なんてジャズ~フュージョンのバンド名も「十字軍」の英語読みです。ラテン語では、 Cruciata。

我々が学校で教わった歴史は、ヨーロッパ側が記述したキリスト教による西洋史観に基づいているようですが、この塩野七生の「十字軍物語」は聖地エルサレムをめぐるキリスト教vsイスラム教の争奪戦を、「信仰」に囚われることなく、冷徹に資料を読み、描いて行きます。

だから、イタリアのピサ、ジェノヴァ、ヴェネツィアなどによる制海権の確立と輸送・補給などが、自国の利益を目的としたビジネスだからと、西洋社会では評価されずに蔑まれてしまうのに対して、彼らの活動無しにはエルサレム王国が90年にわたって維持できなかっただろう、と成功の大きな要因として挙げています。

読み進むうちに、同じ「一神教」でもイスラム教の方が「寛容」に見えてくるのは、僕だけでしょうか? イスラムの支配地とはいえキリスト教の巡礼たちは、十字軍以前にも「安全」にエルサレムへ巡礼出来ていたし、キリスト教徒でも異教徒税を払えば居住は許されていた。
ビザンチン帝国の皇帝が、セルジューク・トルコにアナトリア半島を奪われてローマ法王に泣きつくときの口実に「聖地奪回」を訴えたのがそもそもの発端ですから。

なんか、そこら辺もイラク侵攻を決めたブッシュと重なってしまうのですね。
まさに、「歴史は繰り返す」です。

オールスター軍団とでもいう第3回十字軍の話は、11月頃に刊行予定とか。待ち遠しいなぁ。
今回は、サラディンによるエルサレム王国の奪還まででした。


by dairoku126 | 2011-05-04 18:07 | その他 | Comments(0)


<< 歴史は、繰り返すーその2ー 風も、止んだので… >>