惜櫟荘(せきれきそう)

今朝の新聞で、良い気分にさせてくれる記事を読んだもんで…。
それというのも、小説家・佐伯泰英が私財を投げ打って、熱海にある岩波書店創業者の由緒ある別荘を買い取り、修復保全に取り組むというもの。
約100平方メートルの数寄屋造りの平屋は、近代を代表する建築家で、戦後再建した歌舞伎座の設計などで知られる吉田五十八(いそや)の最高傑作のひとつ。太平洋戦争直前の1941年9月に完成し、戦中戦後にかけ多くの文化人が心を休めた貴重な文化遺産だが、近年はほとんど使われていなかった。いや、良いお金の使い方をしてくれたものです。
磐音シリーズや、鎌倉河岸シリーズなど、文庫書き下ろしスタイルの時代物で合計3000万部を売り上げた人気作家が、居住する熱海の貴重な建築物の保護に取り組んでくれるなんて良い話じゃありませんか!
しかも、地続きの土地まで購入しているということは、景観が損なわれる(前にマンションが建ってしまうなど)ことのケアまでちゃんと考えているということでしょう。
e0171821_13155369.jpg建築物の保護の場合、その建物だけを保護しても周囲の景観が変わってしまっては、意味があるのか、という状態になります。
僕が大好きな京都・岩倉の円通寺というお寺は、写真でも分かるように枯れ山水の見事な庭園を持つお寺です。
修学院離宮と並んで後水尾天皇の美意識の粋を極めたデザインされた庭園で、遙か向かい側の比叡山までを借景として取り入れたものですが、京都も開発が進んで山の中の方までマンションが建ってしまうようになってきたので、京都市では「眺望条例」を制定して景観保護に乗り出しています。
-閑話休題-
「サラリーマンが、一時でもイヤなことを忘れてくれれば…」と書き出した時代小説が、売れに売れて出版史に燦然と輝く岩浪茂雄氏の別荘を保全する立場になろうとは本人も思いもよらないことだったでしょう。しかも、『岩波茂雄さんは『惜櫟荘の主人』でしたが、私の場合は『惜櫟荘の番人』かな』というのも憎いじゃないですか。
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by dairoku126 | 2010-01-14 13:39 | 文化 | Comments(0)


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